こんにちは!
ダイバーシティコンサルタントの門野(かどの)です。
WisHでは“目からウロコが落ちる”情報提供の場、
名付けて「目ウロコセミナー」を定期的に開催しています。
毎回テーマを変えながら開催している好評のセミナーですが、
先日2022年9月27日(火)には、
「D&Iの『パーパス』、言えますか?3ステップで実践する、
組織戦略としてのダイバーシティマネジメント」と題して、
D&I推進を組織戦略の視点からどう考えるのか、そのヒントをお伝えしました。
今日は、このセミナーの様子を、
私の感想も交えつつ振り返ってみたいと思います!
今回登壇いただいたのは、
ご自身も豊富な人事経験・コンサルタント実績を持ち、
組織開発や部下育成の視点によるダイバーシティマネジメント研修で定評のある、
谷口龍彦講師です。
WisHプロフェッショナルパートナー講師
Tatsuhiko Taniguchi
リ・カレント株式会社 取締役 シニア人材開発トレーナー
経歴
過去に、人事制度構築で20社以上携わり、1000件以上の組織課題解決実績を持つコンサルタント。先鋭のコンサルタントを何人も輩出したことから、「部下育成は仕事ではなく部下の人生を支えること」「部下を育成したければ、時間ではなく声をかけろ」など、多数の修羅場体験に基づくメッセージは熱い。女性部下だけのチームを率いていたことからダイバーシティマネジメントの研修の依頼も多く、リアルな体験が共感を生むと高い評価を得ている。また、心理学的見地からの論理的な解説は大変わかりやすいと、百戦錬磨の管理職、経営幹部から、人事担当者からも高い評価と信頼を得ている。
谷口講師は研修の中でもディスカッションを大事にされていますが、
今回のセミナーでも、参加者同士の意見交換から始まりました。
「現在の取り組み状況、進捗度合いはいかがですか?」
「特に経営層や管理職層はD&I推進に対してどのように捉えているのでしょうか?」
という講師からの投げかけに対して、
主に人事部門やD&I推進チーム等からご参加いただいた皆さんからは、
苦労している現状が語られていました。
ディスカッションで挙がっていたお悩み、
また、事前アンケートでお聞きしていた内容からその一部をご紹介します。
・ボトムアップのD&I推進プロジェクトで活動しているが、活動のプレゼンをしても、役員たちがピンときていない様子である
・役員層から「D&Iを推進しても儲からないよ」、「もう十分では?」と言われてしまい、どうしたらいいかわからない
・経営層がD&I推進を人事マターと捉えており、「では人事として何をしてくれるの?」という態度で、自らが主体であることを理解していない
推進担当の皆さんが大変苦労されている様子が伝わってきますね…(汗)。
ただし、「D&Iは儲からない」、これは大きな誤解です。
谷口講師からも、
日本経済を取り巻く厳しい環境変化について熱い講義がありましたが、
グローバル基準での競争が激化しているVUCAの時代、
これまでのやり方を続けてD&Iを推進しなければ、
「儲からない」どころの話ではなく、
日本経済や企業はますます衰退していくのです。
さらに、セミナーにおいては、
冒頭のディスカッションに対する一つの答えとして、
「D&I推進では、なぜ自組織が取り組むのかというパーパス(目的)を明確にすること」
そして、
「その先のあるべき姿を描くこと」
の重要性が語られました。
(詳しく知りたい方は、ぜひ弊社担当者までお声がけください!)
谷口講師からのお話の中で、
私自身が深く共感した内容がありました。
谷口講師は長年、
講師・ファシリテーターとして多くの企業研修を担当されていますが、
10年ほど前、ある企業でD&Iに関する研修を行ったそうです。
その企業では当時、女性の管理職がゼロでしたが、
人事担当者いわく、
「弊社は男女の差なく活躍できる会社。今は過去の名残でまだ女性管理職がいないが、もう少しすれば、女性管理職も出てくると思います」
それから何年も経ってその企業に再度訪問したところ、
残念なことに女性管理職はたった数名しかいなかったそうです……。
もちろん一口にD&Iと言っても切り口は様々ですが、
日本社会においてはいまだジェンダーギャップが大きいことは自明であり、
多くの組織で共通する優先課題です。
なぜ長年取り組んでも、女性管理職を増やすことすらできないのか。
ここには根深いアンコンシャスバイアスが影響しているというお話でした。
例えば「ちょっとした」会議において、
上司の、何の気なしの指示で男性が進行係になり、女性が書記役になる。
「ちょっとした」仕事をお願いするときに、
メイン担当を男性に振り、サポートを女性に依頼する。
ポイントは「ちょっとした」というところです。
大事な場面・重要な意思決定の時に、
あえて女性を外すなんてことは多くの企業で当然行われないのですが、
日常業務の何気ない場面だからこそアンコンシャスバイアスが働いてしまい、
少しずつジェンダーギャップが生じてくるのです。
結果的に、経験や実績に男女差が生まれ、
いざ管理職登用となった時、
気付けば候補者は男性ばかり…‥という状況になります。
共感した、と書きました。
女性である私自身も、
「ちょっとした」役割分担の時に、リーダー的な役割を男性にやってほしい、
と頼んだことが何度もあります。
自分は場を仕切るのがそんなに得意じゃないから、
というのが理由でしたが、
本当にそれだけかと言われると、
やはり、アンコンシャスバイアスが関連しているように今は思います。
部下をアサインをする立場の方も、
私と同じように自ら機会を減らしてきた女性自身も、
この根深いアンコンシャスバイアスの存在に気づき、
自身のバイアスを自覚しようと試みることが、
組織のD&I推進における重要な第一歩なんですね。
約2時間のセミナーは情報満載でしたので、
すべての内容をこのブログでご紹介することはできませんが、
上記のお話以外にも重要な示唆、
ハッとするフレーズが盛りだくさんで、
私自身も改めて勉強になりました。
今回のセミナーや谷口講師の研修が
どのような内容か知りたい!という方は、
ぜひ弊社担当までお気軽にご連絡ください。
今後も弊社では、
様々なテーマで「目ウロコセミナー」を開催してまいります。
皆様のご参加をお待ちしております!
>>目ウロコセミナーの情報はこちら
https://www.re-wish.co.jp/seminar/
Writer
Shizuka kadono
ダイバーシティコンサルタント
プロフィール
子供の頃から「“バリバリ”働くかっこいい女性像」に憧れを抱き就職。しかし徐々に“バリバリ”への違和感を持つように。BtoBイベント事業会社、スタートアップ企業を経てWisHへ参画。誰もが自分らしく、健やかに働ける社会を目指すコンサルタントとして奮闘中。