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HR カンファレンス2019-春-第2部
【イベントレポート/講演②】HRカンファレンス2019-春-
心理的安全性の高い職場をつくる
共感型リーダー3つのチカラ
2019.10.24

 


【プログラム内容】
HR カンファレンス2019-春-[東京] 2019年5月14日
心理的安全性の高い職場をつくる共感型リーダー3つのチカラ

【講演者】
白河 桃子氏(少子化ジャーナリスト/相模女子大、昭和女子大客員教授)
清水 美ゆき( WisH株式会社 代表取締役/心理的安全性 認定ファシリテーター)


2019年5月14日(火)に行われた
「HRカンファレンス2019春-[東京]」
心理的安全性の高い職場をつくる共感型リーダー3つのチカラ
についてのセミナーレポートをお届けします。

 

現場でダイバーシティ&インクルージョンの取り組みが進まない要因として、
職場の心理的安全性が低いことが挙げられます。
多様な人材が能力を存分に発揮できる環境づくりが必要です。
多様な人材の活躍を阻む長時間労働という切り口からアプローチし、それぞれが相乗効果を生み出す土壌となる、
心理的安全性が高い職場を築くための共感型リーダーに必要なチカラについてお話しいただきました。

本レポートではWisH株式会社 代表取締役 心理的安全性認定ファシリテーター/清水美ゆきの講演内容を掲載いたします。

 

【第二部】心理的安全性の高い職場をつくる共感型リーダー3つのチカラ
【清水美ゆきプロフィール】( WisH株式会社 代表取締役 心理的安全性認定ファシリテーター)

(しみず みゆき)専修大学商学部会計学科卒業
税理士法人、人材コンサルティング会社を経てリ・カレント株式会社に入社。
人材組織開発プロデュース部マネジャーとして営業職に携わる。
女性活躍推進に関する相談を数多く受けてきた経験を活かし、
その課題に取り組む専門の部署WisH事業部をたちあげる。
その後、事業部を独立させ、2013年9月リ・カレントの関連会社としてWisH株式会社を設立。
代表取締役に就任。

 

1、心理的安全性とは何か

「心理的安全性」という言葉は心理学用語で、
ハーバードビジネススクールのエドモンドソン教授のスピーチや
Google社のチームを成功に導いた話から注目が集まりました。
エドモンドソン教授によると、心理的安全性が不足しているときに生じる4要素は、
「無知だと思われるのではないか」
「無能だと思われるのではないか」
「邪魔をしているのではないか」
「ネガティブだと思われるのではないか」という要素が発生する。

私たちは、上記のように思うことで、
「怖い」「恥ずかしい」などの感情を感じると、主体的に関わっていけなくなり、
チームに次々と不安要素が波及していきます。
それほどに心理的安全性というものはとても大事なのです。

それでは、チームの心理的安全性とはどういうことなのか?
チームに心理的安全性が感じられる状態とは、
自分の考えや感情をそのまま表現でき、ありのままの自分でいられる。
「これは言ってはいけないのではないか」と思った瞬間に、
本来の自分とは違う自分が発生してしまい発言も少なくなってきてしまいます。

「間違っていても発言していい」
「知らないと言ってもいい」
「分からないことを聞いてもいい」
「意見を言っても大丈夫」
という心理状態がチームの中でつくられているかどうかは、とても大事になってきます。

では、心理的安全性の高い状態をつくるにはどうしたらいいのか。
重要なポイントとしては、組織、チームを率いているリーダーがカギとなってきます。

 

2. 心理的安全性の高い職場をつくるためのリーダーの役割

安全と感じるためには、リーダーはどうしたら良いのか?
1番大事なのは、リーダーが自分自身のリーダーシップやマネジメントのスタイルをきちんと認識していること。
自分自身のことを知らずに、相手のことは理解できません。

また、メンバーとの対話においても、安全性がとても大事となってきます。
1on1やコーチングといった対話の場をたくさん取り入れている企業様は多数いらっしゃいますが、
話を聞いてくれてはいてもリーダーの意向に誘導されていると感じていたり、
うまく使いこなせていないため、メンバーが心理的安全性を感じられないといったケースをよく耳にします。
このことからも、部下が感じていることや考えていることを率直に聞き入れ、
質問をしていくといったリーダーの心理的柔軟性が重要となってきます。
このリーダーの心理的柔軟性がチームの状態や成果へと影響を及ぼすと調査結果もでています。

心理的柔軟な状態とは、無意識の思い込み、アンコンシャスバイアスがポイントなってきます。
アンコンシャスバイアスとは、個々人の過去の経験や価値観といったものがバイアスとなった無意識の思い込みを意味します。
この無意識の思い込みをメンバー、リーダーが自覚しているか。意識をしているか。
組織、チームでは、リーダーの影響がとても大きいため、リーダーの柔軟性が大事となってくるのです。

 

3、共感型リーダーの3つのチカラ

多様な働き方や多様な人が活躍できるチームをつくるために必要なリーダーの共感型の力は3つ
・認知する力
・影響力
・対話する力

1つ目の「認知する力」は、
自分自身のことを知らなければ相手を理解することは困難です。
まずは自分や相手をきちんと観察することが大事です。
自分がどういう行動をし、どういう感情を持っているのか、
ちょっと上の視点から客観的に自分を観察するトレーニング(メタ認知)を行うといいと思います。
行動や発言は聞こえるし目に見えますが、感情に目を向けることは日常あまりしていません。
自分の感情や気持ちを認知することはとても大事です。
自分の感情や気持ちがわからなければ、相手の感情や気持ちはわかりません。

業務の進捗やタスクの確認も大事ですが、面談や相談の場面でタスクや業務の進捗確認だけでは、
相手がどういう気持ちや感情で意識決定を行っているのか、今どういう状態なのかを把握することはできません。
相手に感情や気持ちがあることを忘れてはいけません。
相手の感情や気持ちを汲み取ることは、とても大事となってきます。

感情を認知することは大切だとお伝えしていますが、
感情や気持ちは形があるものではないので、認知することは難しい。
そこで、注目を浴びてきているのが、Emotional Intelligence Quotient(EQ)
EQは、2017年のダボス会議で“2020年に必要なビジネススキルトップ10”の6位に入っています。
EQの力や柔軟な認識力が必要になってくると言われており、ビジネススキルとしてもとても大事となってきます。
EQは、自分の感情を認識し自制する能力、他社を共感的に理解する能力などで、
これは資質ではなく、スキルとなりますので、磨けば伸ばすことができます。
EQI診断を使えば、自分がどういう感情を使って、どういう行動をしているのかが数値化されてでてきます。
数値化された指数により、スキルの把握ができるため、取り入れている企業様も多い。

 

2つ目の「影響力」
ポイントはオープンマインド
一対一で対話する際、相手から話を引き出すために、
個人情報を開示することがオープンマインドではありません。
まずは「いま自分がどう思って、どう感じているか」を自己開示することが大事です。
相手に「どう思っているのか」と聞く前に、自分が開示する。
それによって相手も自分の気持ちや感情を開示しやすくなるため、お互いをよりわかり合えるようになる。
自分をよく知っている人の発する言葉ほど、自分の意思決定に与える影響は大きくなってきます。
オープンマインドの認識が間違っている人が多いので、正しい認識が重要となってきます。

 

3つ目は「対話する力」となりますが、
相手を説得して納得させるような対話ではなく、
相手が自分自身の言葉で納得して行動するような対話を行う力です。
コミュニケーションとは、単に話すことではなく、
相手が望んでいない結果が出ていた場合でも、それを変化させるために、
本人が意思決定できるような質問や導きとなる言葉を語りかけるのです。
相手がどういう感情や気持ちで、どういう状態の時に動くのかを理解した上で、
本人の気持ちや行動を促していく場が対話となります。
スキルとしては、コーチングのスキルが多く挙げられています。

最後に清水より
心理的安全性の高い職場づくりのためにチームのリーダーの存在は重要であり、
リーダー自身が安全と感じること、感情や気持ちに矢印を向けて理解し開示していくことが大事。
リーダーは、3つの力が求められるが、これらの力は資質ではなく磨けば伸ばせるスキルであると締めくくりました。

 

 

【担当プロデューサーより】
ダイバーシティコンサルタント 堀江聡子

本セミナーでは、働き方改革とダイバーシティ&インクルージョン施策の土台となる、
「心理的安全性」をテーマに2つの側面からのアプローチ致しました。

働き方改革もダイバーシティ&インクルージョンも、
日本においてはどうしても制度の「型」から入りがちです。
社員ひとりひとりの行動変容を促すには、
ある一定の強制力を用いることはもちろん重要であり、スピード感も期待できます。

しかしながら、企業側による「働かせ改革」から、
社員ひとりひとりの主体的な「働き方改革」を推進するには、
いったい何のためにやっているのか、
自分にどんなメリットがあるのかにしっかり向き合い、”腹おち”する必要があるのです。
そのためには、自分の中の様々な感情や試行錯誤する揺れる思いや考えを
率直に語り合える職場の心理的安全性が必須となります。

「結局いろいろ考えたところで、どうせ会社は、上司は、◯◯なんだろう」という
諦め感からは、新しいイノベーションも個人の創意工夫も生まれることはありません。
そのような意見を受け容れることは決して甘やかしではなく、
内側からの気持ちを引き出していくことで、
これから先の組織の強さに結びつけていけるということに
多くのマネジメント層に気付いていただけたらと思います。

 


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