【イベントレポート】WisH株式会社主催 女性活躍推進HRDセミナー 2019年6月12日
ロールモデルがいないと悩む女性こそ、
“自分らしさ”をリーダーシップに活かす!
心理的安全性の高い職場をつくる女性リーダー育成プログラム
「オーセンティック・リーダーシップ」
【講師】清水美ゆき(WisH株式会社 代表取締役社長)
安倍政権が女性活躍として2020年に女性管理職割合を30%と掲げ、
上場企業の女性役員数は6年間で2.7倍と増加していたものの、割合は低迷が続いています。
世界経済フォーラムにおいても日本の男女格差は、149カ国中110位と先進国の中では
圧倒的に低い順位となったことも、大きなニュースになりました。
今回のセミナーでは、職場の心理的安全性を高める実践的リーダーとして
“自分らしい”リーダーシップを目指す女性管理職育成プログラムをご紹介しました。
【講師紹介】
WisH株式会社 代表取締役社長 清水美ゆき
株式会社フリーワークス・ラボ 代表取締役
ハピ女カレッジ 代表
◆経歴:
専修大学商学部会計学科卒業
税理士法人、人材コンサルティング会社を経てリ・カレント株式会社に入社。
人材組織開発プロデュース部マネジャーとして営業職に携わる。
女性活躍推進に関する相談を数多く受けてきた経験を活かし、
その課題に取り組む専門の部署WisH事業部をたちあげる。
その後、事業部を独立させ、2013年9月リ・カレントの関連会社としてWisH株式会社を設立。
代表取締役に就任。
◆資格:
心理的安全性 認定ファシリテーター
米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー
EQGA公認プロファイラー
1.オーセンティックリーダーシップ
今回のセミナー冒頭では、参加された企業様の
「自社が求めるリーダー像」「女性管理職登用の課題」について共有していただくことから始まりました。
シェアしていただいた内容としては、下記のような声がでていました。(一部抜粋)
〈自社が求めるリーダー像〉
・多様性を活かしビジネスを生み出せる
・共感、傾聴してくれる
・一人ひとりの部下との対話を大切にする
・イノベーションの創出
・部下の能力を引き出し活かす
・自部署、会社の課題解決ができる
・変化に柔軟に対応できる
・メンバーを幸せにする
・人材育成力
・部の雰囲気を作り出す
・組織を動かすことができる
・トップダウンができる
・メンバーが安心して能力が発揮できる
・方向性を導きだす
・多様の社員が個々の強みを伸ばすことができる
・主体性の発揮
・決断力がある
・よくわからない
〈女性管理職登用の課題〉
・求められる役割と自分らしさ(強み)の発揮度、バランスが難しい
・ライフイベントと成長の機会のバランスが課題
・異動の受け入れ
・時間の制約を許容する
・女性だから管理職になれたと言われる
・家庭との両立
・見本となるリーダー像が不明確、ロールモデルがいない
・そもそも女性の人数が少ない
・男性ありきの世界観、男性中心の社風
・自信がない人が多く、管理職を望まない、なりたがらない
・前例がない
・意識の変化が追いつかない
リーダー像とは?と問われると
「よくわかりません」と言われる会社も多くあります。
以前と同じではないことはわかっているが、
これから求められるリーダーシップ像が不明確であったり、
現在成果を上げている人がモデルとなり、育成するコンテンツに組み込んでいたりと
以前と変わらないというケースもあります。
それでは、今後必要とされている素養が女性にはないのか?
女性にはその素養があると言われているのに、
なぜ「出来ない」と言うのか。
「難しい」「無理」「出来ない」と言う具体的な要因は何か?
その原因を掘り下げていない。
では具体的にどうしたら良いのか・・・
1つ目として「オーセンティックリーダーシップ」についてお話しいただきました。
これまでのリーダーシップは、似たようなリーダーシップのテンプレートに
自分のスタイルを当てはめて、理想的なカタチに仕上げていく。
個人の資質・特性による発揮する形でした。
これからは、いくつかの要素を自分に問いかけながら
リーダーシップのあり方を理解して理想的なカタチに仕上げていく。
おかれている場に応じて変化ができる。
周囲(状況・フォロワー)との関係性によって発揮できることが求められてきます。
オーセンティックリーダーシップは、
「自分らしさをもったリーダーシップ」と言われています。
では“自分らしい”とは何か。
自分らしさを開発するには5つのポイントがあります。
①自己理解(Self-Awareness)
②関係性の構築(Psychological Contract)
③バランス感覚と柔軟性(Sense of balance & Flexibility )
④チームの目標と目的(Goal and purpose)
⑤自分自身を尊重する(Emotional,Positive)
5つのポイントについて解説していただきました。
この5つを発揮していくとオーセンティックリーダーシップの発揮スタイルが見えてきます。
ただし、大前提として安全だと感じていないとできないとのことです。
「自分らしさ」はみんながすでに持っています。
しかし、会社で自分らしさを出すには、若干の恐怖がでてきます。
それは、自分は違うと感じていても、
求められることに対して、答えなければという思いが先行するためです。
そこで、ベースになってくるのが心理的安全性です。
2、心理的安全性×リーダーシップ
「心理的安全性」という言葉は心理学用語で、
ハーバードビジネススクールのエドモンドソン教授のスピーチや
Google社のチームを成功に導いた話から注目が集まりました。
エドモンドソン教授によると、心理的安全性が不足しているときに生じる4要素は、
「無知だと思われるのではないか」
「無能だと思われるのではないか」
「邪魔をしているのではないか」
「ネガティブだと思われるのではないか」
この4要素が発生します。
何か発言をしなければいけない状況の時に
「これは当っているのだろうか」「正解を出さなければいけない」と感じている人が多い。
また、「言ってはいけない空気感になる」「違う意見を言わないことで平和になる」と感じている人も多い。
その人達が悪いとか、考えていないとか、主体的ではないとかではなく、
心のベースに「わかってないと思われる」「大したことないと思われるかもしれない」と感じてからなのです。
このことからも、「自分の考えや感情をそのまま表現できる」
心理的安全性が大事となってきます。
私たちは、自分の素の状態を職場で出すのはいけない、
という思い込みの枠があります。
その枠に囚われている影響が誰の影響が最も大きいのか。
集団、チームでは、管理職の影響が大きいとデータでもでています。
リーダー(管理職)の心理的柔軟性が高いと成果に繋がると言われています。
リーダーの柔軟性もとても大事ですが、
リーダー自身がこの場を心理的に安全と感じているのか。
これもとても大事なことです。
心理的柔軟な状態とは、無意識の思い込み、アンコンシャスバイアスがポイントなってきます。
アンコンシャスバイアスとは、個々人の過去の経験や価値観といったものが
バイアスとなった無意識の思い込みを意味します。
この無意識の思い込みをリーダーやメンバーが自覚しているか、
意識をしているかもとても大事になってきます。
心理的安全性・心理的柔軟性を強化する方法のひとつは
全てを行動で捉えて、視点を切り替えていくことです。
共感力が高いとは、具体的にはどういうことなのか?
共感力の定義は、人それぞれ違っています。
強化しないといけないポイントも人それぞれ違います。
「共感力」は、一連の行動へのラベルにすぎないのです。
全部、行動に分解し、変えられる「行動」に集中することが大切。
私たちは、このラベルで会話をしていることが多く。
リーダー、上司は、このラベルで指導をしてしまうことが多いため、
知らず知らずに真髄からズレが生じてしまっています。
では、貼ってしまいがちなラベルを
「行動に分解する」とはどういうことなのか、
具体的な例を挙げ、詳しい説明に
皆さんうなづき、参考になる部分をメモにとられていました。
組織に、心理的安全性をもたらす上でも
一人一人の「行動」にフォーカスを充て、
望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らすことが大切となってきます。
そこで行動を変えていくフレームワークを実際に体験していただきました。
3、心理的な関係性の構築
相手の気持ちを汲み取る、共感力を強化するためには、
まずは、自分自身がどういう感情、どういう気持ちで行動しているのか、
どういう思考なのかを、客観的に自分を観察するトレーニング(メタ認知)をする必要があります。
自分の感情や気持ちがわからなければ、相手の感情や気持ちはわかりません。
業務の進捗やタスクの確認も大事ですが、面談や相談の場面でタスクや業務の進捗確認だけでは、
相手がどういう気持ちや感情で意識決定を行っているのか、
今どういう状態なのかを把握することはできません。
相手に感情や気持ちがあることを忘れてはいけません。
相手の感情や気持ちを汲み取ることは、とても大事となってきます。
リーダーに必要は力は、「感情を認知する力」と「状況を感知する力」となります。
この必要な力を数値化して見ることができるのが、Emotional Intelligence Quotient(EQ)
EQは、2017年のダボス会議で“2020年に必要なビジネススキルトップ10”の6位に入っており着目されています。
EQI診断を使えば、自分がどういう感情を使って、どういう行動をしているのかが数値化されてでてきます。
自分の行動を客観的に認識するのは難しいので、可視化され数値化された指数により、
スキルアップの把握ができるため取り入れている企業様も多いとのことです。
自分を客観的に認識することは、自分の行動パターンやキッカケを知ることになり、
そして相手の行動パターンを知り、柔軟性を高めていくことがとても大事になってきます。
自分らしいリーダーシップは、周囲と関わりながらリーダーシップのスタイルを確立していくことにあり。
周りの人がいなければ創ることはできないため、完璧である必要はなく、
弱みを出すことにより、チームやメンバー間にゆとり、空間が生まれ、
部下も安心して表現ができるようになるとのことです。
チームビルディング コンセンサス(合意)ゲームを体験していただきました。
先ずは、個人でワークをしていただき、個人で導き出した答えを今度はチームでディスカッションし、
グループで見解をだしていく流れとなります。
その際に5つのルールが定められました。そのルールは、
・平均値はださない
・多数決はしない
・取引もしない
・少数意見を潰さない
・安易な妥協をしない
20分間討議をし、グループとしての意見をまとめていただきました。
このワークは正解があり、その正解に基づき個人、グループとそれぞれを集計し、正解との誤差をだしていく。
このことからわかることは、生産性です。
一人で考えた結果より、グループで討論し考えた結果の方が
より生産性が高い結果が得られることを体感していただきました。
生産的で効果的なグループ討議を行うには、2つの要素が必要と講師よりお話がありました。
その要素は発散と収束。
この発散と収束を体感していただけるのに、このコンセンサスゲームはとても有効とのことです。
実際に演習体験をしていただいたことで、実感していただけたのではないかと思います。
【参加者の声】実施後アンケートより抜粋
「心理的安全性の重要性をより理解できた」
「コンセンサスワークがチームの心理的安全性を振り返るのに有効だと知れた」
「情報量がたくさんあり、学びが多かった」
「事例説明などわかりやすくかった」
「コンセンサスワークで生産性を上げるプロセスがよくわかった」
「実体験に基に進められていたので、今後取り組むにあたりイメージがしやすかった」
「明日からの行動変容につながる内容」
「現状の職場の課題と解決策についてヒントをもらえました」
【担当プロデューサーより】
ダイバーシティ&インクルージョンコンサルタント 藤原快瑤
今回のセミナーでは、まずオーセンティック・リーダーとして、
時には自分の弱さもさらけ出す、自分らしくあるリーダーと
そのリーダーの心理的柔軟性の重要性・感情を認知する力・状況を感知する力などの
解説をさせていただいた後に、コンセンサス・ゲームに取り組んでいただきました。
ダイバーシティの推進といって、
属性で多様な人材を集めるだけでは、基本的には成果に結びつきません。
大切なのはその先に、多様な価値観を持った人材から
新しいアイディアが生まれ得る土壌を醸成することです。
リーダーが自分らしくあることで、
心理的安全性の高い職場をつくることができ、
それゆえにメンバーも自分らしくあることができます。
そうすると、ダイバーシティを推進するだけで終わることなく、
様々な意見を闊達に出し合うことでの共創と協働が可能になります。
管理職に限らず、どのように現場で自分のリーダーシップを発揮したらいいのか
悩んでいる女性の皆さまに是非、体験いただきたい内容です。
自分オリジナルのリーダーシップのスタイルを見つけるきっかけになるはずです。