【イベントレポート】WisH株式会社主催 女性活躍推進HRDセミナー 2019年5月23日
「リーダーになれるという自信」と
「リーダーになってみようという気持ち」を
自ら持てる女性をどんどん増やす育成プログラム
【講師】小竹 眞由美 (WisH プロフェッショナルパートナー)
女性管理職の数を増やそうとお取り組みを進めている企業様が増える一方で、
管理職になりたい女性の割合は2割にとどまっていると言われています。(日経新聞調査)
管理職になりたい割合が低い一つの要因として、
今まで女性は、管理職志向を持つよう育成されてこなかったことに加え、
リーダーのモデルが固定化されていることも背景にあったと思います。
今回のセミナーでは、
新たに管理職に配置できる女性を増やしていくためにはどうしたら良いのか。
約6か月にわたる次世代女性リーダー育成プログラムにおける事例をご紹介しながら、
長期的に女性管理職を輩出し続けるための考え方とポイントについてご体験いただきました。
【講師紹介】
WisH株式会社/リ・カレント株式会社
プロフェッショナルパートナー 小竹 眞由美
◆略歴:
大学卒業後、大手証券会社入社。店頭営業レディ主任となり後輩の指導・育成にも従事。
出産を機に同社を退職。
その後、大手地方銀行に入行。
投資信託販売等で優秀な成績を収める。
2001年からコンサルタント活動に従事。
多摩大学大学院 経営情報学研究科 経営情報学専攻 修士課程終了。経営学修士(MBA)。
◆特徴:
アセスメント手法を用いたビジネスリーダー研修、インバスケット演習を活用した問題解決研修など、
個々人の強み・弱みのフィードバックを得意とする。
主にリーダー層、ベテラン層の女性のステップアップのサポートに高い評価を得ている。
特に今後は、女性の活躍推進に向けて、現場でマネジメントを学んだり、
体験する機会がまだ多くない女性に、研修の『体験型学習』を通じて、
一人ひとりの女性の意欲と能力を引き出し、自信を持って組織で
活躍できるサポートすることに想いをもっている。
1、女性管理職育成のポイント
女性活躍推進を阻むアンコンシャス・バイアスのお話から、スタートいたしました。
女性がイキイキと活躍するには、男性の理解が大事ですが、
「男性の理解」という点では、まだまだなのが現状です。
この状況を払拭していかないと、女性がイキイキと活躍するのは難しくなっていきます。
女性管理職が増えていかない理由として、
①ライフイベント等による仕事への影響
②ロールモデルの存在
③仕事の分担、職場配置に関する男女差
④上司からのマネジメント指導に関する男女差
が上げられるのではないかとのことです。
そして、これからIT化が進む中で生き残るための能力としては、
感性を磨くことと、順応性が大切になり、
その能力は女性が発揮しやすいとのことです。
上記の女性管理職が増えない要因の払拭と磨くべき能力を組み合わせ、
ポイントを抑えたリーダー育成プログラムが大切とのことです。
そのポイントは、
1.生き生き働くために自分のありたい姿を描く:自己の価値観を認識する
2.女性特有のライフイベントをポジティブに乗り越える:‟変化対応力”をさらに高める
3.マネジメント能力の開発:「知識とスキル」の開発
具体的に一つひとつ詳しくご説明いただきました。
女性がやる気になる4つの「キ」もお話いただきました。
・マネジメントのキカイを与える
・マネジメント能力をキタえる
・キタイする(期待水準を詳細に明示する)
・キャリアの展望(どうしていきたいのか、それに伴う悩み、問題点)
大切なのは、
「自分にもできるかも!」と思わせて、
一つひとつステップアップしながら、自信を持たせていくことが重要とのことです。
実際に、個人案件処理と指定案件討議の2つのインバスケット演習をご体験いただきました。
※インバスケット演習とは
「インバスケット」というのは英語で、「未決箱」という意味である。
演習は未決箱に入っている案件に対して、必要な処置をとる経験を通じて、
管理者としての能力または資質を向上させる学習法の一つ。
インバスケット演習効果:
リアルな事例に挑戦することで、当事者意識が高まり、リーダー・管理者としての意識が高まっていき、
質的生産性を向上させるために、リーダーとして必要な優先順位、判断力、適応力が身についていきます。
そして、自分の処理方法と他のメンバーの処理方法を比較して、
多様な考え方、価値観の違いから自分の無意識のバイアスに気付くことができ、
多様な思考を共有していくプロセスがとても大切。
インバスケット演習の流れ
1.個人案件処理
ある職場の架空の管理職・リーダーになりきり、
制限時間内に顧客のクレーム、コンプライアンス、部下指導などさまざまな問題への対処や上司からの指示、
部下の意見具申や関係者への対応などを考慮しながら案件を処理する。
2、指定案件討議
・インバスケット演習をグループ内で共有し、最適案を作成する。
・他のメンバーの処理方法、考え方に接し、多面的な考え方や価値観に触れ、自分の行動傾向を知る。
3、グループ案の発表と全体フィードバック
・他のグループの処理内容と比較・検討し、管理者として
最も望ましい仕事の進め方・意思決定は何かを理解する。
・自己の意思決定の特徴と今後の課題を見つける。
講師より、参加者の皆様へ質問を投げかけながら、詳しく演習の解説をしていただきました。
リーダーに必要な段取り、資質はトレーニングにより育っていく。
演習を繰り返し行うことで、必要な要素は育っていくことを
実際に演習体験をしていただいたことで、実感していただけたのではないかと思います。
3、 プログラム体験②(変化対応力診断)
日常で無意識にとっている行動(8つの行動特性項目)の56の質問に答えていき
変化対応力診断体験をしていただきました。
診断結果により、ご自身の行動特性レベルがわかり、変化対応力の特徴を知ることができたと思います。
自身の変化対応力を知ることで、今後の行動改善ができていきます。
変化対応力は意識の対応力として、インバスケットは能力の対応力として、
両方がリーダー育成には必要となってきます。
3時間の限られた時間ではありましたが、
実際の研修内容を盛り込んだ濃い内容、実践体験型セミナーに、
たくさんの気づき、知識をお持ち帰ることができたのではないかと思います。
【参加者の声】実施後アンケートより抜粋
「女性社員の意識付けのためのメソッドとして、新たな知識や考え方を得られ興味深かった」
「実際の職場で活かせるところまで、繰り返し研修をするところに特に興味を感じた」
「実体験を含んだ講義をしてくださり、実体験をもって理解することができた」
「実際の研修内容を体験しながら、研修内容を説明していただけたのがわかりやすかった」
「惜しみなく情報をだしていただき、テンポよく良かったです」
「具体的なプログラムが体験でき、説明、話し方が明快で説得力がありました」
「インバスケット演習の内容が面白く取り組める内容になっていた」
「実際の例を取り上げて頂き、他社の方と意見交換をすることで、沢山の気づきがありました」
【担当プロデューサーより】
ダイバーシティ&インクルージョンコンサルタント 藤原快瑤
ダイバーシティ推進のご支援をさせていただくなかで、
「なぜ女性だけ集めて研修をするのか」と言われるという
ご担当者の声を多く耳にしています。
しかし、まだまだ数字でみても
男女平等が特に経済と政治への参画では大幅に遅れをとっている日本では、
女性リーダー育成に力を入れていく必要性は否めません。
将来の女性管理職を育てていくには、
今回、ご体験いただいた変化対応力診断を通じて、自身を知り、
様々な演習を通して、バーチャルではあるけれども、
決まった答えがない状況中で自分だったらどう対応するかを考え、
話し合い、自身の判断力を磨く、このような体験がとても有効ではないかと思います。
ちなみに、女性を管理職に登用するにあたって、
これはあまり表立って議論されていませんが、
視座の低さがネックになっている場合もあるのではないでしょうか。
これは一概には言い切れませんが、
ひとつは上司のアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)により、
チャレンジングな仕事や成長の機会のとなるワンランク上の仕事の機会が
男性に比べて与えられてこなかったことにも起因します。
演習を中心とした研修では、
自分と違った立場を体験することで、
客観的に自身の役割への期待を理解したり、
または一つ上の立場であったらどのように判断を下すのかなどを
リアルに学ぶことができます。
ダイバーシティ推進はもう女性活躍推進だけの話ではありません。
しかし、あるグループ層が30%を超えるまでは「マイノリティ」である
といわれることもあるように、
まだまだ現状としては長年培われてきた組織の風土や文化を含め、
次世代女性リーダー育成に向けて取り組むべき課題は残っているのが
今の日本企業の現状ではないでしょうか。
マイノリティのなかでもマジョリティである女性、
その次世代女性リーダー育成を進めていくことは
ゆくゆくは属性でみたときのその他の様々な層の人たち、
更には属性に限らず、多様なメンバーたちが働きやすく
より成果を出しやすい組織になっていくだろうと思います。