【イベントレポート】WisH株式会社主催 女性活躍推進HRDセミナー 2019年5月10日
女性の活躍から、社員一人一人の活躍へ
ちがいを「力」に変え、文化をつくり、発信し続ける
D&I推進リーダー向け「ダイバーシティマネジメント(EQ編)」
【講師】株式会社アイズプラス 代表取締役 池照佳代 (WisH プロフェッショナルパートナー)
皆さんの会社は、何のためにダイバーシティ推進を行っていますか?
その問いの答えは明確であり、
経営層・企画担当者間を越えて、
社内での意識統一はなされているでしょうか?
ダイバーシティ推進のスタートとして、
女性活躍支援・女性リーダー育成等、
女性社員を対象とした施策が行われてきましたが、
「実は、担当である私も良く分かっていない・・・」
「なぜ、女性だけに焦点が当たるのかしっくりこない」
という声が、まだまだ聞こえてきます。
今回のセミナーでは、
現場管理職がダイバーシティを、新しい価値創造にいかすために、
イノベーションを生み出す組織にするために必要な5つのスタンス「VOICE」と、
一人ひとりが自分らしく働き、ちがいを力に変えるために活用できる
「EQ×マネジメント」手法をご紹介させていただきました。
【講師紹介】
株式会社アイズプラス 代表取締役 池照佳代
WisH株式会社 プロフェッショナルパートナー
◆経歴:
英会話学校での講師・学校運営を1年経験。
その後、1992年から2005年までマスターフーズリミテッド、フォードジャパン、
アディダスジャパン、ファイザー、日本ポールにて一貫して人事を担当。
株式会社アイズプラスを設立し、
企業の人事・経営企画業務支援を中心に、
人事制度(評価、報酬、教育、組織)設計、
社内外コミュニケーションデザインの構築と実行、
ダイバーシティ、女性活躍、コーチング、EQ開発、マネジメント研修設計・講師業務
と多数支援の実績を持つ。
認定NPO法人キーパーソン21の理事を務め、
全国の学校現場に児童、社会人(企業)、学校、地域の協働プロジェクトとして
キャリア教育プログラム提供の支支援も行う.
◆資格:
CDA(キャリアデベロプメントアドバイザー)
TESOL(第二外国語としての英語教授法)
EQトレーナー/プロファイラー(EQGA公認)
The Bob Pike Group プロフェッショナルトレーナー
EQACアセッサー国際認定資格
SEI EQプラクティショナー
1、ダイバーシティ経営の意義理解
今回のセミナー冒頭では、
どんなことに興味があったのか、どんな自分だったのか、どんなことが1番心に残っているのか、
どんなことに夢中になっていたいのか、どんな仕事をしていたいのか。どんなとこに住んでいたいのか。
10歳、10年後ををれぞれ、絵で表し、自己紹介をしていただくことから始まりました。
今、ダイバーシティ施策は、ダイバーシティだけに焦点を当てるよりも
「個人、個人がどうやって人生を歩んでいきたいと思っているのか」に焦点を当てる企業が増えてきているとのことです。
スイスのトップエグゼクティブの方が通うビジネススクールで使っている自己紹介手法を使って体験頂きました
自社のダイバーシティの現状・課題について共有をしていただきました。
シェアしていただいた内容としては、下記のような声がでていました。
〈現状・課題〉
・女性管理職一歩手前の層が少ない、なりたがらない
・女性管理職の割合
・女性営業職が離職しやすい
・女性のキャリアアップとライフイベントがマッチングしない
・経営層に女性がいない
・まだまだ男性社会
・男性中心のマインド
・上司と部下の意識差
・ダイバーシティに対して期待を持っていない
・役員層のD&Iの関心度が低い
・D&Iの体現
・大企業病
・性役割が根強い
・マネジメント力不足(理解・行動変容)
・アンコンシャス・バイアス
・ダイバーシティの必要性の腹落ち
課題共有のあとは、ダイバーシティ推進のポイントを講師よりお話いただきました。
最初に講師より、
「なぜ、ダイバーシティ推進をやっているのか」答えられますか?と問いがありました。
この質問を管理職に投げかけると答えられない管理職がまだまだ多いのが現状です。
担当者の皆さんも、明確に経営層と一致したメッセージを答えることができますか?
ほとんどの場合は、企業側の取り組みと環境の変化の両方から。
労働市場が変化をしてきたため、人事的戦略の1部として。
組織や風土を変えていかないといけない状況にある。
営業やマーケティング戦略における顧客の変化が理由、など上げられると思います。
推進の目的としては、大きく2つ。
1つは、イノベーションを起こしたい。
2つ目は、人事施策
ダイバーシティの制度、風土、意識には段階があり、
第1段階が無い企業はほとんどない。
第2段階で注目するのは「属性」。
現在は第3段階の「個性」を目指す段階へときています。
ここをしっかりと認識し、理解納得してもらわなくてはいけません。
長期視点で取り組む大切さなどをお話しいただきながら
講師から発信されるメッセージに、
皆さんうなづき、参考になる部分をメモにとられていました。
デモグラフィー型の人材多様性とタスク型の人材多様性について、
事例を交えながら詳しく解説をしていただきながら、実際にワーク体験もしていただきました。
講師から、
デモグラフィー型だけでは、ダイバーシティは上手く機能しない。
組織の戦略を強くするには、複数型、複数次元にする必要があり、
また、タスク型は、色々な人の意見、色んな人の経験を出せば出すほど、効果が出てくると言われている。
現状として、まだまだ出しきれていないので、だからこそ出しきることにより、
「それぞれの人の違いを力」にできるのではないかというメッセージが発信されていました
活かす組織にするには、デモグラフィー型とタスク型を掛け合わせて作る視点が大切。
マネージャーがチームの属性を見て、チームの行き先を見て、
チーム内の違いを力にするにはどうしたら良いのか考え
自分の言葉で戦略を示すことが管理職にとっては重要ではないでしょうか。
大切なのは「違いを知り、理解するだけでなく、お互いを尊重し、認め合い、活かし合うこと!」です。
3、 D&I推進・現場リーダーに必要な5つの力
Diversity & Inclusion を推進するリーダーに必要な5つの力「VOICE」をご紹介いたしました。
Vision:方向性を示す
Open-mind:オープンマインド
Inclusive:受け入れる姿勢
Communication:関わりを科学する
Empathu:共感を示す
実際に参加者の皆様に、一つひとつの項目にご自身の点数をつけていただきました。
ダイバーシティを推進し、イノベーションを生み出す組織になるためには、
どんな視点や戦略が必要なのか、客観的な視点で見ていただくことができたのではないかと思います。
4、D&Iを促す、Communication~EQ×マネジメント~
冒頭に、EQについて簡単な映像を見ていただきました。
EQについて、参加者の方からは
・開発が可能な能力
・知能指数とは関係がない
・ある一定の層だけに必要なのか、全員に必要なモノなのか
こんな感想、ご意見が上がりました。
講師より、
EQは、感情にまつわる知性。
そして、誰でも生まれながらに持っている能力であり、
磨き、高めることができ開発が可能。
また、普段感じている喜怒哀楽の感情とは別で、
成果に向けて感情を活かす力、導く能力のことをいっています。
EQの開発は、目的、達成すべき成果のために、
自分の感情を知り、自他の感情との距離感を取っていき、
感情を最大限に活用することを言います。
目的も目標もない、感情を変えて影響力を及ぼしたいことがないならば、
EQの開発は必要ないかもしれません。
行動を変容させるには、自分の感情がどうなっているのかを知る必要があり、
それについてどういう思考を持っているのか知るための訓練でもEQはあるのです。
同じ出来事に対して、どんな感情を抱くのか、
それによりどんな思考を持つのかによって、その後の行動、結果が違ってくる。
EQの検査では、発揮される行動の量がわかり、
スコアの高さは行動量を表しており、 環境や立場によって求められる行動は違ってきます。
EQは、「自分はどうなりたいか」の問いに
どんな素養が必要なのか、強めた方が良いのか、弱めた方が良いのかを知るツールとなり
実際の現場でどのように活かしたら良いのか、どのように活用していくのかを考え行動の一歩を踏み出すことができます。
管理職自らがまずは自分を知り、
職場のメンバー一人ひとりの強みや違いを理解するための視点を掴み、
多様性を活かしあう組織をつくる推進リーダーとして、EQやVOICEが活用できるのです。
具体的なEQを活用した豊富な事例、成果のお話しをしていただき
ダイバーシティを推進するリーダーとして必要なポイントをイメージいただけたのではないかと思います。
【参加者の声】実施後アンケートより抜粋
「テンポよく話もわかりやすかった」
「無駄がまったくなく、パワーをいただけた」
「EQは新しい発見で活用していきたい」
「EQの理解が深まった」
「ダイバーシティを推進していくために必要なポイント、考え方を整理することができました」
「グループ内、グループ外の人との情報交換ができる時間が組み込まれていて良かった」
「EQに関する知識がなかったので、D&Iに限らず、多方面で活用できると感じた」
「進め方、内容、ご経験に裏付けられた説得力のある内容が魅力的だった」
【担当プロデューサーより】
ダイバーシティコンサルタント 生井さおり
一人ひとりが、自分らしく自ら描く夢を実現したり、働くことができる世の中になるように、
そんな支援ができる仕事に就きたいと、社会人の一歩をふみだしました。
私がこの業界に飛び込んだ10年前の世の中は、
新入社員・若手・中堅・管理職・役員と階層に分け、
新入社員研修、昇格者研修、次世代リーダー研修、経営幹部候補育成研修が
その階層にふさわしいとされるマインドやスキルの醸成・理解を目的として行われていました。
もちろん、今もこの目的での研修は行われていますが、
ダイバーシティ&インクルージョンの推進で、
「個を活かす」「違いを力にする」といったメッセージがより強固になり、
内省や外注手段は問わず施策が展開されていることは、個人的にもとても嬉しいです。
このテーマに投資をされるという流れが、ほとんど当時は無かったからです。
女性活躍推進として始まり、
ダイバーシティ推進に言葉を変化させ、
ダイバーシティ推進の大きな枠組みのなかで先ずは女性からと、
それぞれの企業にあった表現ややり方で、施策がこの数年で展開されています。
男女分けたくないという声もあがってきてはいますが、
まだまだ「女性管理職の比率が少ない」「管理職になりたいと思ってくれる女性が少ない」
という課題に対応する悩みが多いのもまた現実です。
しかしどんなに言葉や形がかわっても、
現場リーダーの理解を得ること、
協力者として力を借りることは、
推進において最重要事項であることに変わりはありません。
また管理職に負担がかかるのか、という現場の不満が聞こえてくる懸念もあるかもしれませんが、
最初の理解は「管理職」からであっても
管理職だけが推進リーダーであり続けなければならないのではなく、
ダイバーシティ&インクルージョンは、誰もがその推進を担う当事者に
もなれれば役職に捉われないリーダーにもなれると私は考えます。
そのフェーズに行く前のファーストステップとして
① 管理職がまずは自分の体験からこれに気づくことができるか
② 次に、推進者をどれだけ仲間や自分のチーム内から増やすことができるのか、
③ そしてその発掘・育成に主体的に行動し関わっていくことができるのか、
単なる周知、座学の実施、コミュニケーションスキルを高めるだけの施策ではなく、
こういったメッセージが会社の本気度とともにどれだけ伝えられるのか、
自身が行動することで得られた気づきを材料に、
気持ちと行動を変えていく仕掛けづくりができるかが、より大切になってくるのかもしれません。