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ダイバーシティ Café - イベントレポート

WisH主催 目からウロコセミナー
【イベントレポート】事務系社員のキャリアチェンジを
 促進する3つのアプローチ
2018.03.19

【イベントレポート】WisH株式会社主催 女性活躍推進HRDセミナー 2018年03月06日

 

「事務系社員のキャリアチェンジを促進する

 3つのアプローチ」

~対象者の心理的変化「否定・損得比較・諦め」に寄り添い、

               キャリアチェンジを成長の機会へ導く~

【講演者】WisH株式会社 ダイバーシティコンサルタント 堀江 聡子

 

今回の企画では、「ITの活用」「事務事業の合理化」に伴い、進んでいる事務職社員の総合職へ
の転換についてスポットライトを当てました。

 進んでいる・・・と表現したものの、各社を訪問すると、実際にはうまく進んでおらず
頭を悩ませている企業や、また、「取り組まなければいけないのだが、どうアプローチ
をすればいいのか・・・」とこれから取り組みを検討されている企業など現状は様々です。

  

・キャリアチェンジの制度があっても利用者が少ない

 ・社の方針として、全事務系女性社員を総合職に転換しても対象者が期待通りの活躍が本当にできるのか

 ・対象者の不満が高まり、離職につながるのではないか

 

会社が彼女たちの「キャリアアップのため」の機会と考えても、受講対象者本人が
望まなければ、制度は活用されず、また、総合職になったとしても能力が発揮されない
ことも考えられます。

 世代によっては、主体的に「事務職」を選択しているため、この課題は「会社の方針
だから従ってください」というアプローチだけでは解決することは難しいと考えられます。
しかし、人材不足が深刻化する昨今、業務を熟知し、的確に業務を遂行できる能力がある
事務系女性の活躍は、企業の発展には欠かすことができず、そのままにしておくということ
は難しい現状です。

 今回のセミナーでは、今まで、サポート業務に徹し、変化を嫌い、やや受け身な姿勢で
取り組んでいた事務系社員の意識が変わり、キャリアチェンジを成長の機会ととらえ、
自ら主体性を発揮する方向へ歩みをすすめていくように促すためのアプローチについて
ご紹介しました。

 

【堀江 聡子講師 プロフィール】

 

はぐキャリア合同会社 代表
WisH株式会社 ダイバーシティコンサルタント

 

■経歴:

学生援護会(現;パーソルキャリアに吸収合併)、リンクアンドモチベーション、
日立総合経営研修所を経て、女性のキャリアを専門としたキャリア
コンサルティング事業を開始。
2015年にはぐキャリア合同会社を設立。代表に就任。
キャリア相談実績は、5,000人を超える。
一貫して企業人事に関わるパートナーとして、採用・育成・制度設計・風土改革
のコンサルティングに従事。ターゲットの課題やニーズに応じた研修プログラム
開発やプロジェクトマネジメントを得意とする。

 

■資格

国家資格キャリアコンサルタント
日本経済団体連合会認定キャリア・アドバイザー
女性労働協会認定講師

 

 

変化”を”成長の機会”と捉え主体性を発揮する、

そんな事務職女性社員をいかに育成するか?

 

プログラム冒頭の自社課題の共有とアンケートの結果より、事務系職種の現状と課題として
以下のような声が多く聞かれました。

 

・変わらなければいけないのはわかってるが、上司の意識がついてきていないことに不安を感じている

・事務系社員は、自分に何が足りないのか不安、両立に不安、いろいろな不安を払拭してからでないと
職種変更に踏み出せないのではないか

 ・ジョブローテーションを拒絶する空気が事務スタッフにあり、どう意識変革させていくかが課題

 ・現状に甘んずることなく、一歩前へチャレンジする職員を増やしたい

 ・「変わりたくない」という思いが強く、社内でもほとんど例がないので、どう進めていくか

 

堀江講師からは、事務系社員の特徴として以下のように整理し、お伝えしました。

<強み>

・与えられた業務を着実に実行する力

・細かな作業に対しても手順を遵守し、正確に行う力

・高い学習能力

・周囲との連携に慣れており、協調性がある

 

<弱み>

・変化を好まない

・新しいことへの挑戦を嫌う(リスク面に着目する)

・失敗を恐れる

・安定志向

・ワークライフバランスを重視する傾向も強い

 

では、これらの特徴を踏まえてどのように育成すればよいのでしょうか?

 

堀江講師:

長年慣れ親しんできた事務職から営業部門や企画部門への職種転換は、
本人にとっては大きな「恐れ」や「不安」を伴うものです。短期間の
急激な変化は、事務系社員の弱みを刺激することになり、モチベーション
の低下や離職に繋がりやすいというリスクを抱えます。

 

時間をかけたアプローチが必要な理由

転勤や異動を繰り返してきた総合職とは異なり、変化に慣れていない
事務系社員に変化を求めることは難しく、また、前述の通り、事務系社員の
弱みを刺激することになります。外部から強いるのではなく、本人が
”変わらなきゃ”と思わなければ、新しい世界で活躍するための力を得るため
の行動も起こりません。

 その”変わらなきゃ”の意識を醸成する方法として、対象者の心理的変化に
合わせた集合研修とキャリアカウンセリングを組み合わせたアプローチを
複数回実施することを、私どもでは提案しています。従来のアプローチ
としては”集合研修のみ””キャリアカウンセリングのみ”または、組み合わせて
1回実施するというのもが多かったですが、意識の変革は1回のアプローチで
おこるものではなく、繰り返し期待を伝え→対象者自身が考え→実行→振り返る
ことにより少しずつに醸成されると考えています。

 

 

【対象者の心理的変化(5段階)に合わせた3つのアプローチ】

アプローチ1/ネガティブな感情を受容し、そのうえで現実を客観視させる

<心理的変化(1)>

①不満・怒り、否定
②現実からの逃避

自ら事務職を選択した彼女対にとっては、総合職への転換は「会社の都合」と捉え、
不満や怒りなど否定的な感情が表面化する段階です。

自分の感情を吐露し、共感されることの安心感を求めている状態。現実から逃避する
ことで自己の心の平穏を保とうとしています。それらを経て、初めて現実と向き合う
ことができるようになるため、非常に重要な一歩となります。

 

◆研修テーマ

”しなやかなキャリア”を自らの手で獲得していくためのスタンスの獲得

元々「自分が」という意識が薄い対象層であるからこそ、「自分がどうなりたいか」
ではなく、変化の中で自分が組織にどう貢献するかという視点でキャリアを見つめ直します。
キャリアの見つめ直しは、単なる棚卸ではなく「その時どう感じていたのか」など感情や
本音に焦点を含めえ振り返っていただきます。

また、「今後、私たちの仕事に起こり得る環境変化とは?」を受講者が個人で考え、
グループで共有し、さらにチーム間で共有します。外部から言われた情報を理解するのではなく、
自分で考えることにより、自分事としてとらえられる効果が期待でき、また、同じ立場の人の
考えを知ることで、より多くの気づきを得ることができます。

 

アプローチ2/自分を見直し、複数の選択肢を踏まえて自己決定させる

<心理的変化(2)>

③他の選択肢との比較
④自分と会社との取引

現実と向き合う中で、離職や転職との比較も含め検討する段階です。
これまでの自身のキャリアを見つめ直し、離職や転職との比較も含めて、
今後の選択について実践的なアドバイスを求める。

 

◆研修テーマ

「人生を豊かにする自分の強み」の発掘
事務系社員の中には、自信がなく、”自分には他で通用する強みがない”と
考える方もいらっしゃいますが、Realise2診断を活用し「人生を豊かにする自分の強み」を
認識することができます。自分自身では、気づいていない強みを、診断ツールを使う
ことにより可視化します。

また、「3年後の私の価値交換図」を考えるワークでは、3年後にどんな価値を発揮して、
対価を得るのかを描き、そのために発揮する強み、克服する弱みを考えます。それらを
実行するためのアクションプランを立案し、将来に向けての行動計画をたてます。

 

アプローチ3/今後期待される役割に対して、前向きに受け止め、行動させる

<心理的変化(3)>

⑤要請の受容、諦め

次第に現実を受容し始め、心理的に切り替わるタイミング。今後求められる役割に
とって必要な知識やスキルの獲得に前向きに考えられるようになります。

 

◆研修テーマ

変化を理解し、求められる役割・チームワークを体感し自身の変化へ昇華する

「指示書達成ゲーム」は、職場や組織で日常行われている姿を、単純化したものです。
このゲームは、チームに与えられた仕事をいかに早く達成させることができるか?を
チーム間で競うゲームです。

ゲームを通じ組織活動の中では、何が大切なのかを理解していただくのが目的となっており、
自組織の役割の中で、上司・他部署・後輩から期待されている役割をゲームを通じて
理解を促します。また、そのために必要な一段上の視座についても気づいていただく
仕組みとなっています。

 

このゲームは、ただ順位を競うのではなく、ゲーム終了後に振り返りを行い、
指示の適切さやコミュニケーションの取り方などを振り返ります。普段の
コミュニケーションのスタイルが顕在化するため、普段の行動と重なり
多くの気づきが得られます。

 

 

 

受講の感想(アンケートより引用)

・ゲームを通して実感が伴う学習ができた。単なる意識啓発ではない点が良かった。

・”チームワーク”ゲーム(指示)が面白かった。一般職の方にもわかりやすいと思った。

・最後の指示書のゲームは、本当に深いと感じました。上司・部下双方の気づきになるものでした

・会社、上司に関して?は施策を考えているものの、一般事務職本人に対してどんな

アプローチが出来るかヒントが得られた

・シミュレーションゲームを通じて自分から行動することの大切さを学べた

 

【担当プロデューサーより】

ダイバーシティコンサルタント 伊名岡  茜

 

事務系社員のキャリアチェンジには長期的なアプローチが重要

キャリアチェンジを促す研修としては、会社からの期待を伝え動機づけるものが多い中、
今回は、対象者の心理的変化に即したアプローチをご紹介しました。これを読まれている
人事の方の中には、「会社の方針なのだから従ってもらわないと困る。ここまで寄り添わ
なければならないのか」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

私も事業会社で人事業務を担っていた経験がありますので、その気持ちやお考えは
理解できます。しかしながら、キャリアチェンジには、人の心が関わっているため、
1度の研修で人の意識を変革させる”魔法の杖”のような研修は存在しないと思っています。

今回、ご紹介したワークは、各企業様の現状により組み替えることができ、企業毎の
オリジナルの研修を作ることができます。ただ、ご検討の際は、1回の研修で終わらせる
のではなく複数回の研修やキャリアカウンセリングをご検討ください。

また、寄り添いについては、事務系社員に限らず、若手社員の育成にも共通して言える
ことがあると思っています。(例えば、若手育成に関しては、”指示通りに仕事するように”
から”その仕事の「意味・意義」を伝えた上で依頼する””若手の声に耳を傾けまずは受け入れる”
に変更した企業様も多いのではないでしょうか?)

事務系社員の方は、自社の特徴やルールを理解し、社内人脈もある貴重な人材です。
新規採用が難しくなる昨今、事務系社員のキャリアチェンジや活性化は組織開発に
とって非常に重要です。今回ご紹介したアプローチでキャリアチェンジを促進していく
方法をぜひご検討いただきたいと思います。

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