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ダイバーシティ Café - WisH ブログ

Vol.13 堀江聡子
ジレンマと向き合う覚悟
2019.03.01

こんにちは。WisHのダイバーシティコンサルタント・堀江聡子です。

先日クライアント先に向かう途中の神田橋で、早咲きの桜を見つけました。
もうすぐ満開の桜を見られると思うと、やはりワクワクと気持ちが明るくなります。
人間も動物なのだと、改めて実感する瞬間でした。

 

 

さて私事ではありますが、我が家の一人娘もこの春、小学校に入学します。
この前まで抱っこしていた娘が、もうそんな大きくなったのかと、
毎日一緒にいる親でさえ、感慨深いものがあります。

 

先日幼稚園3年間の集大成として、園のお遊戯会がありました。
年明けからずっと自分たちで準備してきて、
最後までやり遂げた後の子供たちの表情は、
とても誇らしいものでした。

しかしその直後、久々に激しくぐずりはじめた娘。
私は仕事に行かなければならず、預かり保育にお願いしていたのですが、
緊張から解放されたからなのか、はたまた他の子がみんなお母さんと手を繋いで
帰宅するのを見たからなのか、久々に「ママといたい!」と泣きじゃくります。
しばらく付き合うもののタイムリミットが迫り、先生に抱っこしてもらってひきはがし
後ろ髪を引かれながら、園を後にしました。

 

元々の年間行事予定から、園の諸事情により日程が変更になった経緯を言い訳にしたり、
それでもやっぱり多少無理をしてでもアポイントを変更しておけばよかったと後悔したり、
仕事に向かう車中で、働く母の葛藤を久々に味わう私。

それでも女性のキャリアを専門にして仕事をしている自分は、この葛藤から逃げちゃいけない。
同じように葛藤しながら働くお母さんたちの味方であり続けると覚悟したのだから、
ここで弱気になってはいけない。
その思いのみで、なんとかやり過ごしました。

 

 

4月からまた、いろんな園で同じような葛藤が
全国の働くお母さんの中で繰り広げられるのだろうと思うと、本当に心が痛みます。
でも、なるべくなら、罪悪感を持たないでほしい。

子供にこんなにツライ思いをさせてまで、私が働く意味なんてあるのだろうかと思い悩んだとしても、
本当に仕事を手放すことは、最後の手段にしてほしい。

今この瞬間は確かに二人ともツライけれど、でも長期的に見たら、働くことのメリットもたくさんある。
そして「行かないで」と泣ける子供は、そのぶん甘えることができている証拠。
いい育児をしている証拠だと、自分に言い聞かせてほしい。
大丈夫。子供はものすごい適応力を持っています。
お迎えに行く頃には、ケロッとして遊んでいますからね(笑)。

 

子育ては、自分がその渦中にいないと、すぐに過去のことになってしまう。
でもその渦中に苦しんでいる人がリアルタイムで存在していることを心のどこかで忘れずにいたい。
そう思えた出来事でした。

 

 

このようなジレンマは、育児や介護のことだけに限らず、
日々誰かと関わりながら生きている人間にとって、常について回ることだと思います。

時間は有限。
その時間を誰と・何のために使うのか。
その判断を私たちは日々しながら過ごしている。
そしてその蓄積の集大成が、その人の生き方・人生となります。

何も考えていないと、どんどん流されてしまう。
「上司に怒られるから」
「同僚に迷惑を掛けるから」
「家族が不機嫌になるから」
いろんな言い訳で、私たちは自分の行動を誰かの判断に委ねてしまう。

でもその小さな判断こそが、自分の時間を支配し、
自分の人生をつくっていることを
頭のどこかで意識し続けること。

そして誰のせいでもなく、
自分の意思で「そう決めた」と思えること。
それこそが自己効力感であり、
満足度の高い人生を握る鍵であると思うのです。

 

 

4月からいよいよ「働き方改革関連法」が施行されます。
残業時間の上限が、法律によって定められ、
有休取得についても取得させなければならない義務を企業が負います。

長時間労働を習慣にしてしまってきた企業には、かなりの打撃とはなりますが
逆に言えば、社員一人一人の成長と自立を促すチャンスでもあります。

自分の仕事の時間を、どう使うのか。
会社や上司や同僚が決めるのではなく、自分自身が決める。
これこそが限られた資源を何に投資するかという経済活動の基本だからです。

単にすべての業務効率化すれば良いという訳ではなく、
どの業務を効率化し、どの業務は時間を掛けるべきなのか。
やるべきことだけではなく、やらないことも取捨選択する。
そのようなトレーニングを日々積んでいけば、おのずと判断力やスピードは向上するでしょう。

 

何か変化が起きるときには、必ずジレンマを生みます。
これまでのやり方を否定されたような感覚を持つ人もいるでしょう。
「変えたくない」「変わりたくない」というパワーに、抵抗されることもあるでしょう。
しかしこのジレンマは、変化が進んでいる証なのです。
ジレンマを経てはじめて、新しいものを受け入れる準備ができる。
ジレンマこそ、改革の第一歩。

 

ダイバーシティ推進や働き方改革のご担当をされる方々は、
このジレンマに押しつぶされそうになることも多いかもしれません。
しかし、このジレンマを超えた先に
必ず企業としての変革があるのだという覚悟を持つことが
当事者である我々に、最も大切なことであるとも思うのです。

 

 

私も日々、お客様の様々な状況をお聞きするたびにジレンマを感じます。
それは仕事のシーンだけでなく、子育てにおいても、家庭の運営においても(笑)。
それを悲観するのではなく、
「おもろいやん」と楽しめる懐の深さを忘れないでいたいなと、思います。
自分への戒めの意味も込めて。

 

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