Case 導入事例

CASE.7
ダイバーシティ推進を目指す横浜国立大学のお取り組み
横浜国立大学 様
Client :
横浜国立大学

部署名:ダイバーシティ戦略推進本部
https://diversity.ynu.ac.jp/

泉 真由子氏
副学長(ダイバーシティ担当)、ダイバーシティ戦略推進本部副本部長。
専門は特別支援教育。

池島 祥文氏
学長補佐、ダイバーシティ戦略推進本部男女共同参画部門長。
専門は農業経済学、地域経済論。

山中 千尋氏
ダイバーシティ戦略推進本部 講師。
専門は科学史、科学教育。

北沢 拓也氏
人事・労務課 専門員。

※本事例は、前身であるWisH株式会社にて実施したものです。
 肩書等は記事公開当時のものとなります。

取り組みに至る
背景・きっかけ

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添田

本日はよろしくお願い致します。
まずは、ダイバーシティ戦略推進本部のお取り組みのきっかけをお聞かせください。

本学では、従来から男女共同参画室、障がい学生支援室、保健管理センター、なんでも相談室などがそれぞれに活動を展開していました。
2016年に、総務担当理事を中心にダイバーシティWGを立ち上げ、学内の関係者で、本学の現状と課題について検討を進めました。
2018年には、文部科学省科学技術人材育成費補助事業(以下JST事業)の「ダイバーシティ研修環境実現イニシアティブ(牽引型)」に採択され、これの採択を機に2019年にダイバーシティ宣言を行いました。
そして、2020年4月、様々な相違を個性として尊重しその多様性を活かすことで組織のパフォーマンスを向上させることを目的とし、従来の2組織を機能的に統合した、推進本部の設置に至りました。

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添田

従来の組織活動の「多様性を活かす」という観点で機能的に統合し、これからより一層ダイバーシティ推進のお取り組みをされるということなのですね。

検討プロセス・実行施策

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添田

組織診断を実施することを決めた理由をお聞かせください。

JST事業に採択されたことにより、しっかりと成果を出す必要がありました。その一環として、組織の実態を把握すべきと思いました。また、もともと、ダイバーシティ推進を支援してくれる会社があることは知っていましたが、コロナ禍で各種のイベントが実施できなくなる中、ダイバーシティの推進に有効な取組はないかと考えたことが、その理由です。

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山中

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添田

組織診断は、実態を知るという観点でのお取り組みということでしたが、その他どういったお取り組みをされているのでしょうか。

JSTダイバーシティ事業の取組は、3本柱となっています。

1つ目は、研究力向上です。これは、企業との共同研究の実施、研究スキルアップ等のセミナー実施があります。

2つ目は、次世代育成です。若手女性のキャリアアップや、理系の女子学生を増やすなどの意識啓発を行っています。

3つ目は、環境整備です。例えば、ダイバーシティにかかわる各種イベントの実施や、関連図書の貸し出しによる意識醸成を行っています。

以上の取組を、地域の産学官の連携により実施しています。

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山中

WisHを選んだ理由

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添田

WisHを選んだ理由をお聞かせください。

外部のシンポジウムに参加した際に、添田さんから話を聞いたことがきっかけになります。その後本学にお越しになって、きめ細かな対応をしていただく中で、信頼できる会社と思い、お任せしようということになりました。

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山中

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添田

私自身もご縁を感じた出会いでした。ありがとうございます。また、診断ツールが多くある中で、WisHの組織診断を選んでいただいた理由はありますか。

正直、他社の商品やサービスなどには詳しくないのですが、WisHさんのサービスは内容が分かりやすかったです。ホームページを拝見しても、目指すものが明確でしたし、導入企業の実績などがあり、信頼感がありました。また、大学としての実績は初めてと聞いていましたので、大学のなかでは特色ある取組になるかと思い、今回依頼をしました。

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山中

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添田

調査結果を見て、どのようにお感じになりましたか?

良かった部分については、働き方が大きく異なる教員と職員とで整理されており、それが結果として示されている点です。また、結果を総括して、評価されているポイントと課題点がわかりやすかったことも良かったです。

一方で、回答率がそれほど高くない部分が課題だと感じています。2つの診断を比較的近い時期に実施をしたことにより、回答者が以前と同じ内容だと感じるとか、設問数の多さに挫折した人がいたのではないか、と思います。加えて、女性が少ない組織では、男性の回答率が著しく低かったので、男女共同参画やダイバーシティを自分事と思っていない層に対してリーチできる仕組みが必要だと思いました。また、サマリーにおいて、他の組織との比較があれば、一般の企業がどのくらいなのか、本学がどの位置にいるのか分かるので、客観的な状況がつかみやすいです。さらに、学術的な裏付けや知見が記されていると、より結果の理解がしやすかったのではないかと考えます。

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池島

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添田

詳細にご教示いただきありがとうございます。今後は貴校のお取り組みの中で、ご要望に沿った情報提供をさせていただければと思います。

職場での変化

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添田

実際に調査を回答された方のご感想はどのようなものがありましたか?

設問が多いという声が挙がっていました。人によっては、負担感を感じさせてしまった部分があったと思います。特に上司が明確でない場合の、設問の工夫が必要だったと感じています。また、先程の質問でも少しお伝えしましたが、2つの診断を実施したことで、既視感がありました。それぞれの診断の違いが分かるようなものがあるとさらに良かったと感じています。

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池島

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添田

今回の診断結果はどういった活用を想定しているのでしょうか?

まずは、サマリーを役員へ報告し、経営判断の参考にするとともに、適宜、回答者へ報告をしていく予定です。ただし、個人情報保護の問題もあるため、取り扱いには十分な注意を払う必要があります。

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北沢

今後の取り組みについて

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添田

ダイバーシティに関する今後の展望や取り組みについてお聞かせください。

今回、役員に組織診断の結果を報告するにあたって、回答者数が多くないことや、部局の回答率などのデータの偏りが気になっています。役員は、研究者なので、調査分析についての手法に厳しい目を持っています。一方で、本学のダイバーシティ推進に関して、どのような成果が出ているのか、定点観測の取り組みを続けていきたいと考えています。
大学という組織は特殊なので、今後、本学とWisHさんが連携して、大学用の組織診断の開発ができると良いのではないかと感じました。

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添田

ダイバーシティ連携協議会KT内の取り組みと展望、協議会におけるWisHへの期待をお聞かせください。

まずは、協議会へのご参画ありがとうございます。
協議会には、先程もお伝えしたように、「研究力の向上」「次世代育成」「ダイバーシティ研究環境整備」の3本柱があります。これらを、メディアとの連携も含めた情報発信を試みています。今後は、参画企業や自治体含めて、女性活躍だけではなくダイバーシティの環境づくりを広く進めるような仕掛けづくりや情報発信をしていきたいと思っています。その取り組みを、横浜をベースに日本の研究や教育に貢献できればと考えております。

また、新たに参画するWisHさんへの期待についてです。参画企業がどのように参画するかは、企業にお任せしている部分はありますが、他の企業がどのような取組をしているのかなど、協議会へ情報提供をしていただけるとありがたいです。

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池島

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添田

最後に皆様のダイバーシティ推進に関する思いをお聞かせください。

男女共同参画を意識したのは、自分に子供が生まれてその中でどう生活していくか、というリアルなところから始まりました。
「男女共同参画」を頭では理解しているものの、自分事として接するとまた違う様相に直面します。そうした経験を男女共同参画の実際の取り組みにつなげていくことが必要だと考えています。また、実際に育児や介護をはじめ、ライフイベントに取り組みながら働く教職員の姿を情報発信することで、男性社会になりがちな大学のなかにおいても、異なる働き方があることを見せていきたいと思います。
また、男女共同参画のありかたに関して、従来の考え方のままであると感じる場面もあるので、若い世代からの発信がより必要だと感じています。

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池島

私は以前、優れた研究を推進するという仕事をしていました。ダイバーシティを担当してから感じたことは、これまでは、一部にしか投資していなかったのでは、ということです。人間としての研究者という視点をもって支援を行っていけば、日本の研究力を上げることができると思います。
また、この仕事をする中で、バックグラウンドや考え方を含めた多様な人と接するので、いろいろな気づきがあります。そうした「違い」から価値を生み出すことができればと思っています。この具体的な取組の方法については、是非WisHさんと一緒に考えていけたらと思います。

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山中

事務をしている立場としては、組織診断の回答率が芳しくないなど、なかなかダイバーシティや男女共同参画は興味を持ってもらえないと感じています。興味を持っていない人にどのように興味を持ってもらうかが課題だと思うので、WisHさんの知見があれば是非教えていただきたいです。

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北沢

これまで男女共同参画やライフイベント支援制度にあまり関心を持たずに働いてきてしまいましたが、今年4月にダイバーシティ担当の副学長に就任後、企業や各大学のダイバーシティについて情報収集をしてみて、もっと利用すればよかったと後悔しています。
ダイバーシティは、公平性をめぐる問題であるとともに、イノベーションとパフォーマンスの原動力であるとも言われています。公平性の観点とイノベーションとパフォーマンス向上の部分の両方のバランスをとって取り組んでいく必要があると考えています。

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担当プロデューサーの声

2020年の12月から横浜国立大学様の施策にご一緒させていただいております。2013年に推進本部の前身である推進センターを発足されてから、数々のお取り組みをされていらっしゃいます。

その中でも、今回は組織診断で、ご一緒させていただくこととなりました。弊社の組織診断には、女性活躍組織診断とダイバーシティ組織診断の2つの診断があり、今回は2つの診断を導入いたしました。

学校の組織は会社組織とは大きく異なり、教員・職員、学部によっても状況が様々です。診断上では教員・職員、学部別と細分化し集計分析を行ったので、より細かい現状把握ができたのではないかと感じています。

今後も、結果に対する打ち手の施策として、横浜国立大学さんのダイバーシティ推進のお取り組みにお役立ちできるよう尽力するともに、参画させていただいたダイバーシティ協議会でも引き続き、ご一緒できたらと考えております。

ダイバーシティ&インクルージョン
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