【イベントレポート】WisH株式会社主催 女性活躍推進HRDセミナー 2018年4月25日
「マネジメント手法は現場に丸投げ」からの脱却!
ダイバーシティマネジメント実践編」
~「アンコンシャス・バイアス」×「コンフリクトマネジメント」で
現場管理職の「どうすればいいの?」を解決する、
3つの新・マネジメント実践法~
【講演者】WisH株式会社 代表取締役社長 清水 美ゆき
今回の企画では、「ダイバーシティ推進」「働き方改革」が各社で進む中、
これまでのやり方からの変革を求められている管理職たちの転換について
スポットライトを当てました。
「目標は必達。でも残業は禁止」
「時短勤務者のフォローが大事。でも特別扱いしてはならない」
一見矛盾する指示を出さねばならない。
しかし当の管理職自身ですら、昨今の大きな変化に対して不安や迷いがあり、
頭では解っていても気持ちが追い付かない、
日々の業務に追われて新しい取り組みをする余裕がない、
これからどんなやり方をしていくべきかわからず自職場で取り組むべきことに
落とし込めていない、…という現実があります。
今回のセミナーでは、ダイバーシティマネジメントの実践編として、
現場で実際に発生していることに着目し、
「アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)」と「コンフリクトマネジメント」
という2つのキーワードから現場管理職の「どうすればいいの?」を解決するための、
マネジメント実践法をご紹介しました。
【講師紹介】
WisH株式会社 代表取締役 清水美ゆき
◆経歴
税理士法人、人材コンサルティング会社を経てリ・カレント株式会社に入社。
人材組織開発プロデュース部マネジャーとして営業職に携わる。
女性活躍推進に関する相談を数多く受けてきた経験を活かし、
その課題に取り組む専門の部署WisH事業部をたちあげる。
その後、事業部を独立させ、2013年9月リ・カレントの関連会社として
WisH株式会社を設立。代表取締役に就任。
◆資格
米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー
EQGA公認プロファイラー
1. アンコンシャス・バイアスとは
まず、そもそも「アンコンシャス・バイアス」についての説明が講師からありました。
ダイバーシティ推進の文脈で言うアンコンシャス・バイアスとは、
「無意識の思い込み・偏見」のこと。
自分自身が気づいていないものの見方や捉え方のゆがみ・偏りのこと
自分の可能性を狭める要因になっているとも言われています。
このバイアスに気づき、あるいはお互いに把握してフィードバックし合って
相互理解・受容することが、ダイバーシティの素地として大切ということです。
バイアスを削除するのではなく、違う見方もある、といわば自分の間口を広げるのです。
これをマネジャー自らができなければ、部下には強いられませんよね。
2. アンコンシャス・バイアスに自ら気づく3つの方法
とはいえ、自分のバイアスにはなかなか気づきにくいもので…
その簡単な方法が紹介されました。
■言葉遣い確認法
「あの人いつも○○だな…」
例えばこんなふうに言ってしまうことはないでしょうか。
そのときに、「それってホント? いつもって『いつも』?」
と自分に問いかけてみる習慣方法です。
■一人つっこみ法
事あるごとに、「あれっ?また決めつけていない?」
と自分にツッコミを入れてみる方法です。
■他者質問法
自分でツッコミを入れる代わりに、他の人に聞いてみる方法です。
「○○さん、これって私の思い込みかな?」
3. コンフリクトマネジメントが必要となる理由
ダイバーシティ推進が狙うイノベーションの効果は、実はコンフリクトの末に生じるものです。
したがって、ダイバーシティ促進の過程でコンフリクトマネジメントは、いわば
強烈はスパイスのように刺激が強いがなくてならないもの、と言えるでしょうか。
■コンフリクトへの対処法を身につける
セミナーでは、実際に研修で使うケースを用いて、演習を実施しました。
制約条件のある(時短労働)女性社員とその同僚の間で生じる
職場でよく見られるコンフリクト場面です。
講師による解説では、マネジャーはその際に、どのようなポイントで両者と話をするべきか
という話がされました。
「あるある」な設定のケースであったために、参加者の方々にも参考にして頂けたようです。
4.新・マネジメント実践編
まとめとして、これからの新しいマネジメントのポイントを3点、講師から提示致しました。
■その1 受容するための前提
ここでのポイントは、自分のアンコンシャス・バイアスを自覚するということと、
自分と異なる(と捉えてしまう)意見を受け容れる、ということです。
受け容れるのに役立つのが、率直に質問からコミュニケーションを始めることです。
■その2 意見の対立を恐れない
コンフリクトが起きると、得てして感情的になることがありますが、
感情ではなく思考と行動に着目すること、
そして「誰が言っているか」よりも「何を言っているか」に注目することがポイントとなります。
感情から離れることによって、対立している両者の歩み寄りの余地が見えてくることに繋がります。
■その3 部下本人が自分で解決するための支援
何でもマネジャーが仲裁役として解決するのでは、負担は一向に軽減しません。
また、マネジャーが常に正しいわけでもありません。
これらを自覚し、部下自身が解決できるよう伴走することが、これからのマネジメントに
必要なスタンスなのです。
【受講の感想 アンケートより】
・アンコンシャス・バイアスの可視化による気づき、コンフリクトマネジメントについては、
あらゆるマネジメントに活かせると感じました。
・「なかなか進まない」という思い込みもあるのでは、ということに本日のセミナーで
気づきました。まずは行動していこうと思います。
・マネジャーとしてどうあるべきか、という幅広い視点で話を聴けた。
・アンコンシャス・バイアスとコンフリクトマネジメントの本来の意味を理解でき、
仕事を勧めていく上でどう活用するかヒントが見つかりました。
・異なる意見が出る環境を作り、イノベーションを発生させるために、
コンフリクトマネジメントの発想が有効であるということがわかりよかったです。
【担当プロデューサーより】
ダイバーシティコンサルタント 堀江聡子
「いろんな人に配慮しろって言うけど、目の前の売上の方が大事だろ」
「ダイバーシティが大事なのはわかるけど、管理職の忙しさもなんとかしてくれ・・・」
「残業するな、女性に気を遣え、でも目標は必達!って、どうしたらいいの?」
これが、日本企業の中間管理職が抱える本音ではないでしょうか?
日本では、人口減による労働力の減少という危機が迫った中で、安倍政権が打ち出した
女性活躍推進という背景の影響を強く受けたこともあり、
仕事だけに集中できない人にも、仕事をしてもらえるように制度や環境を整えなければ!
という意識が先行しています。
そしてその複雑性の最前線に立っているのが、現場の中間管理職たち。
今後のことを考えるとやらなきゃいけないことは頭では解っているものの、
目の前の売上や利益を追いかける使命を課された彼らにとって、
自由が利かないメンバーをマネジメントすることのメリットが感じられにくいのも事実です。
しかし残念ながら、女性活躍推進は働く女性たちの「人権活動」ではありません。
あくまで経済政策としての女性活躍推進なのです。
多様な価値観を持つ人が組織にいることで、新しい価値観・発想が生まれ、
これまでになかったイノベーションを起こし、その結果、売上や利益に貢献できる。
だからこその、ダイバーシティ推進であり、日本においてはその第一歩が女性活躍推進なのです。
経営層が認識しているだけでは、現場には浸透しません。
現場で日々マネジメントをしている現場管理職の皆さんが、
このことを心の底から腹落ちし、現場で実践されてこそ、成し遂げられることです。
今最も負担がかかってしまっている現場管理職層にこそ、一度立ち止まってでも、
このことに向き合って頂くことの重要性を、今回の目ウロコセミナーでお伝え致しました。
現場で直面していることを題材にしながら、自部署にとってのダイバーシティ推進の意味と
向き合い、”腹落ち”する機会を提供できたらと思います。